専門家の見立てた兵器とは

手がかりが無いなかで、専門家は推測を述べています。
イギリスのダラム大学などに籍を置くブレディン・ボーエン氏は、BBC のラジオ番組でこう語りました。
電子戦か電波妨害の装置ではないか。衛星を壊さない型の対衛星兵器だろう、と。
電波のやり取りを断てば、その衛星はほとんど役に立たなくなる。
同じ働きをする装置は、すでに地上にあります。
より壊す方向の装置も、ボーエン氏は否定していません。
ただし、飛翔体をぶつけて衛星を壊す型は可能性が低いと見ています。
近づいて相手をつかむ衛星、という線も挙げました。
天文学者のジョナサン・マクダウェル氏の見立ても、電波妨害でした。
アメリカは中身を伏せた衛星をすでにいくつも打ち上げている。だからそう考えるのが妥当だ、という理由です。
ただしマクダウェル氏は、電波妨害であっても宇宙での軍事活動の大きな段階の引き上げになると述べています。
そして、ロシアと中国が同じように応じるだろうとも。
軌道上の取り決めは、もともと穴があります。
1967年の宇宙条約は、大量破壊兵器を軌道に置くことを禁じました。
しかし条文には、通常の兵器を地球の軌道に置くことへの一般的な禁止は含まれていません。
懸念されているのは、壊した後に残るものです。
ロシアが自国の使われていない衛星を地上発射のミサイルで破壊した時には、数千個のかけらが軌道に生まれました。
秒速で回る金属の破片が増えれば、次の衝突を呼びます。
今回明かされたのは、兵器が「ある」という一点だけでした。
何であるかも、いつからあるかも、独立に確かめられてはいません。
分かっているのは、宇宙を平和な場所として扱う前提が、静かに書き換えられつつあるということです。
星に願いをかける相手が、こちらを見張っていないとは限らない。そんな空になりました。

























