量子コンピューターの「エラー探し」にも役立つかもしれない

この発見は、量子コンピューターが抱える悩みの解決にもつながるかもしれません。
量子コンピューターは、ふつうのコンピューターでは手に負えない一部の複雑な計算をこなせる可能性がありますが、量子の状態がもろいため、計算が終わる前にエラーが生じてしまうことがあります。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(「時間の逆転」を量子コンピュータで実現!)
提案されている多くの量子コンピューターのしくみでは、量子ジャンプはまさに「エラー」にあたります。
ところが、そのジャンプがいつ起きたのかを突き止めるのは、これまで難しいことでした。
音の量子ジャンプを追いかけられるようになったことは、そうしたエラーを見つけて正すための一歩になると考えられています。
チームを率いたアミール・サファビ=ナエイニ(Amir Safavi-Naeini)准教授は「振動する物体が量子的なふるまいを示しうることが分かり、これは量子コンピューティングやセンシングに必要な多くの操作の前提条件です」と述べています。
この振動子はチップ作りの技術で作られており、1枚のチップにたくさん載せて複雑な働きをさせられるほど小さいのも特徴です。
その小ささと、振動子と量子ビットを組み合わせたしくみの感度の高さから、とても精密な計測にも使える可能性があります。
実際に研究チームは、カリフォルニア工科大学(Caltech)のマイケル・ロークス(Michael Roukes)氏のチームと協力し、このしくみで細胞の中のタンパク質を検出・識別する方法をすでに探り始めています。
サキエル氏も、音をとても細かく制御できると示せたことで、スマートフォンなど音を基本技術に使う身近な機器が、いずれずっと良くなるかもしれないと話しています。
私たちの耳にはなめらかに消えていくように聞こえる音の余韻も、少なくともこの小さな振動子の中までのぞき込めば、最後は粒がパッと消える、階段のような出来事だったのです。
もっとも、鐘の余韻に耳を澄ませて「いま1粒消えた」と言い当てられる人がいたら、その人はたぶん量子ビットより耳がいいはずです。

























