恐れられた死者は「よそ者」だったのか?

では、地元の人々はなぜ、この人たちが死後によみがえると心配したのでしょうか。
葬られた人たちは、年齢も性別もさまざまでした。
これまでには、よそ者として信用されていなかったからではないか、あるいは何かの病気のせいではないか、という説が出されていました。
しかしドラウスコの骨は、こうした見方と食い違っているように見えます。
歯のエナメル質(歯の表面をおおう硬い層)に含まれる同位体(育った土地の手がかりになる成分)から、彼らはこの地域の出身だったとみられるのです。
さらに骨には、病気やストレス、けがの跡も残っていませんでした。
つまり骨からは、彼らがよそ者だったとも、病気の跡が残るような人だったとも言いにくいのです。
ただし、病気が関わっていた可能性がなくなったわけではありません。
コレラのように、骨に跡を残しにくい病気が原因だったことも考えられます。
研究者たちによると、感染症がはやったときには、最初に亡くなった人が吸血鬼として戻ってくる危険が高いと見なされるのがふつうだったといいます。
あるいは、その人自身の人となりや立場の何かが、周りの人々の疑いを招いたのかもしれません。
こうした葬り方がどんな人に向けられたのかについては、まだ多くの謎が残っています。
それでも、死者がどう葬られたかは、その人が生前にどう見られていたかを映し出す手がかりになります。
鎌や石は、死者を墓に閉じこめるための道具であると同時に、生きていたころの彼らに向けられたまなざしを今に伝える記録でもあるのです。
吸血鬼を信じる人はもういないかもしれませんが、その恐れは確かに過去に跡を残していました。




















