売買が多いのは「乗り遅れたくない」から?

では、なぜSNSで情報を集める人は売買が多い傾向にあるのでしょうか。
チャタジー教授は、その背景に「取り残されることへの恐れ(FOMO)」が関わっている可能性を挙げています。
「次の注目株や投資のチャンスについて誰かが話しているのを絶えず目にしていると、チャンスを逃したと感じる前に飛びつきたくなってしまうのです」と教授は語ります。
とはいえ、SNSが投資家にとって悪いことばかりというわけではありません。
YouTubeやRedditのようなプラットフォームは、これまで投資を怖い、分かりにくいと感じていた人にとっても、金融の情報を見つけやすくしています。
チャタジー教授も「ある意味で、SNSは(投資の情報を)民主化していて、人々のアクセスを広げる助けになっています」と認めています。
ただし、情報に手が届きやすいことと、その情報の質が良いことは別の話です。
金融の専門家には仕事を縛るルールや規制がありますが、SNSで発信する人にはそれがなく、誰でも金融の情報や意見を発信できます。
短い動画や投稿は複雑な話題を分かりやすくしてくれる一方で、その途中で細かな部分が抜け落ちてしまうこともあります。
また、この研究には注意しておきたい限界もあります。
使われたのはある一時点の調査データなので、SNSを使ったから自信だけが高まったという因果関係までは言い切れません。
研究チームは今後、同じ人を長く追いかける調査や実験によって、時間とともに何が変わるのかを分析できるとしています。
それでも研究チームは、SNSが過剰な自信や行き過ぎた売買を後押ししうる可能性を指摘しています。
研究者たちは、投資家にSNSのアプリを消すよう勧めているわけではありません。
そのかわり、SNSで見つけた金融情報をそのまま信じず、問い直す力を身につけるよう呼びかけています。
論文も、金融サービスの専門家やアドバイザー、規制当局は、投資の知識とあわせて情報を批判的に見極める力の大切さを、顧客や消費者に伝えるべきだとしています。
スクロールするたびに増えていくのが本当の知識なのか、それとも「分かったつもり」なのかを、ときどき立ち止まって確かめてみる価値はありそうです。
SNSでいちばん確実に増えていくのは、どうやら資産ではなく「あとで見る」に保存した投稿の数なのかもしれません。






















