混乱に見えた脳の奥に、何が隠れていたのか?
まず体験そのものについて、参加者の半数が今回のセッションを「人生で最も意味深い体験のひとつ」に挙げました。
24人は、人生のトップ5に入ると答えています。

では脳はどうだったかというと、従来の方法で見るかぎり、定説どおりの「混乱」がかなり正確に再現されました。
目を閉じた3つの場面では、それぞれのネットワークの内側の結びつきは弱まり、ネットワーク同士の結びつきは強まっていたのです。
脳が専門チームごとにどれだけきれいに分かれているかを示す「モジュール性」も、4つの場面すべてで下がりました。

脳のほかの場所との結びつきの強さを示す指標は、目を閉じた場面では、感覚を担う領域で下がり、連合領域(さまざまな情報をまとめ上げる領域)と呼ばれる部分で上がっていました。
ストリカー氏は仮説だと断ったうえで、現実や想像、信念、自己の感覚を組み立てる働きが、感覚の領域より優位になったように見えると述べています。
もうひとつ目を引くのが、目を閉じた脳と目を開けた脳の違いです。
しらふのとき、目を閉じた脳の活動は、映像を見ている脳の活動とは大きく違って見えます。
ところがシロシビンのもとでは、その違いがほとんど消えてしまいました。
視覚のネットワークでは、目を開けたときと閉じたときの結びつきの差が85%も縮んでいたのです。
脳波でも、ふだん視覚の入力を絞る目印とされるアルファ波の活動が、半分近く減っていました。

ストリカー氏は、幻覚剤を使った人が目を閉じて複雑な映像を見られるとき、内側の世界と外側の世界の境目がふだんより薄くなっているようだと話します。
ここまでは、ばらけた高速道路という定説の絵とよく合う結果です。
しかしチームがデータの扱い方を少し変えると、その混乱は秩序へと姿を変えました。




