「独身でいること」への満足は、世代で大きく割れた
一方で、人生全体への満足を除く3つの項目は、人によるばらつきがずっと大きいものでした。
ホーン氏も、性生活の満足や恋人がほしい気持ちは人によって大きく違ったと話します。
それでも、人生全体への満足は、時間がたってもとても安定していたというのです。
とくに分かれ方がはっきりしたのが、「独身でいること」そのものへの満足です。
若い世代では、約67%が独身でいることに高い満足を持ち続けていました。
ところが中間の世代と年上の世代では、人が3つのグループに分かれました。
独身でいることにとても満足しているグループは、中間の世代で約30%、年上の世代で約37%にとどまります。
いちばん多かったのは、中くらいの満足にとどまるグループでした。
そして、独身でいることへの満足が低いグループも、中間の世代で約12%、年上の世代で約18%いました。
グループどうしで違うのは主に出発点の高さで、11年間の変化は小さいものでした。
著者らは、こうした世代の違いについて2つの見方を示しています。
1つは、人生の目標が移り変わることです。
学業や仕事に打ち込む若い時期には独身が合いやすく、年を重ねるとパートナーを持つことに関心が向きやすいというのです。
もう1つは、絞り込みの影響です。年上の世代ほど多くの人がすでにパートナーを持っているため、独身のまま残るのは限られた人になります。
恋人がほしい気持ちも強さの違うグループに分かれ、それぞれの強さは11年間ほとんど変わりませんでした。
パートナーを最も強く求め続けたグループは、学歴がやや低めで、人に合わせて思いやる性格(協調性)が高い傾向がありました。
反対に、最も満足度の高い歩みをした人たちは、学歴が高く外向的で、フルタイムで働く人が多い傾向がありました。
もっとも、この研究にはいくつか注意点があります。
対象はドイツの人たちで、それぞれの満足度は1つの質問への回答で測られています。
また、11回の調査すべてで独身だった人だけを選んでいるので、調査の時点で恋人がいた人の歩みは含まれていません。ただし、調査と調査の合間に短く付き合った人は含まれています。
性格や収入と満足度の結びつきも、どちらが原因かまでは分かっていません。
なお著者らは、年上の世代の一部に見られた満足の落ち込みについて、一時的なものである可能性が高いとも見ています。
独身でいることへの満足は人生の半ばの手前で下がり、その後また上がるのが一般的だとする先行研究があるためです。
それでも、恋人がほしい気持ちや性生活の満足が人それぞれでも、人生全体への満足は多くの人で高いまま保たれていました。
独身の生き方に、誰にでも当てはまる1本の道筋があるわけではないのです。
1本の平均線では沈んで見えた独身の人たちも、歩み方ごとにグループに分けて見れば、およそ9割が、11年間を通して満足度が尺度の真ん中を上回り続けるグループに入っていました。
とはいえ、毎年のように「恋人はいますか」と聞かれ続けるのも、それはそれでなかなかの修行かもしれません。




