このサンゴは、いったい誰の親戚なのか?
このサンゴの正体を探るため、研究チームは体のつくりとあわせて遺伝子を調べました。
使ったのは3つの遺伝子で、八放サンゴ(はっぽうサンゴ、触手が8本あるサンゴの仲間)の仲間分けによく使われるものです。
2つは細胞の中の小さな発電所「ミトコンドリア」の遺伝子、残る1つは細胞核の遺伝子でした。
ところが、結果は遺伝子ごとにバラバラで、同じ答えに揃わなかったのです。

ミトコンドリアの遺伝子の1つ(mtMutS)は、このサンゴを「インクルスタトゥス科」に強く結びつけました。
この科は、軸(体を支える芯)を持たず、岩などの表面を這うように広がるソフトコーラル(柔らかいサンゴ)の仲間です。
枝を広げて1mを超える黄金の木とは、形のうえで共通点がほとんどありません。
一方、もう1つのミトコンドリアの遺伝子(COI)は、「エウニケラ科」という別の科を、やはり強く支持しました。
核の遺伝子(28S)は手がかりが弱く、はっきりした居場所を示せませんでした。

研究チームが最も驚いたとしているのは、同じミトコンドリアの遺伝子どうしで答えが大きく食い違ったことです。
そこで研究チームは、2つの標本から、ゲノム(生き物が持つ遺伝情報の全体)を広く読み取りました。
そして、ゲノムのあちこちに散らばる多数の領域を取り出し、まとめて比べたのです。
比べる相手には、過去の研究で集められた八放サンゴ393サンプルのデータなどを使いました。
その結果、このサンゴは既存のどの科にも入らず、独自のグループを作ることが強く支持されました。
系統樹の上では、エウニケラ科のすぐ隣で枝分かれした「姉妹」にあたる位置です。

振り返ると、COIの遺伝子は、この大規模な解析と同じ並びを示していたことになります。
ただし、群体の形や、体の中に散らばる小さな骨のかけら(骨片)は、エウニケラ科とは大きく違っていました。

そこで研究チームは、このサンゴのために新しい科「ラウリンクウェ科」を立てました。
あわせて新しい属と種として、「ラウリンクウェ・エレニャ(Laurinque elenya)」と名づけられています。




