インターネットの世界で「信じられるもの」とは何なのでしょうか?
驚くかもしれませんが、上の画像の中に、誰一人として実在している人物はいません。テクノロジーがついに現実を壊し始めたとでも言うべきこのクオリティ。AIによる機械学習がついにここまできてしまいました。もはや最終形態では…。
米国の半導体メーカーであるNVIDIAの研究者は、ニューラルネットワークによって実装される敵対的生成ネットワーク(generative adversarial network:GAN)を活用し、このようなリアルな顔を生成することに成功しました。その成果は、これまで私たちが見てきたどの「フェイク・フェイス」よりもリアリティがあるものに仕上がっています。
これらの写真は、GANが実際の写真から情報を得た後に自ら反復して生成したものです。またこの例では、研究者はGANに対して「若い」「老けている」「メガネをかけている」など多くの顔の「スタイル」を教え込んでいます。そうすることで、ランダムに配置されたようなシミやそばかす、また無精ひげにいたるまで、すべて私たちの目に自然に映るようにイメージが生成されているのです。
研究者らはさらに、同じネットワークを用いて「フェイク・ネコ」も生成しています。中には奇妙な生物になりかけているものもありますが、そのほとんどが本物と見間違うほどのリアリティです。
実はGANを用いたこのような試みは、これが初めてではありません。昨年同じNVIDIAの研究チームが、GANを活用してリアルなフェイク・フェイスの生成を目指していました。しかしこれまでの結果は、「リアル」とは程遠いものであり、そこには歪んだ顔や不自然な顔が現れ、解像度も低いものでした。
ニューラルネットワークによる技術は、どんどん私たちの目を欺くことが上手くなっています。そのうち「リアル」との区別がつかなくなることは想像に難くありません。技術の進歩は目覚ましいものですが、こういった技術が「悪用」されないかどうかは常に懸念される点です。