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AIが天気予報センターを上回る / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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「天気予報AI」が世界の天気予報センターの”予測精度を上回る”

2025.05.23 06:30:51 Friday

「天気予報を見て週末の予定を立てたのに、雨が降ってがっかりした」

そんな経験が一度はあるのではないでしょうか。

私たちが普段利用している天気予報は非常に精密で信頼性が高いですが、それでも外れることはあります。

特に、数日先の予報になると、その誤差は少しずつ大きくなっていきます。

しかし今、その限界を超えようとする驚異のAIモデルが登場しました。

その名は「Aurora(オーロラ)」。

このAIは、Microsoft Researchが開発したもので、これまでの気象予測の常識を覆すような成果を上げています。

Auroraは気象予報だけでなく、大気汚染や海洋波、台風の進路予測までも一つのモデルで実現しており、既存の世界的な予報センターの予測精度を大きく上回ったのです。

この研究成果は、2025年5月21日付で科学誌『Nature』に掲載されました。

New AI Weather Tool Outperforms Global Forecasting Centers https://www.sciencealert.com/new-ai-weather-tool-outperforms-global-forecasting-centers From sea to sky: Microsoft’s Aurora AI foundation model goes beyond weather forecasting https://news.microsoft.com/source/features/ai/microsofts-aurora-ai-foundation-model-goes-beyond-weather-forecasting/
A foundation model for the Earth system https://doi.org/10.1038/s41586-025-09005-y

天気予報AI「Aurora」が開発される

現在の気象予報の多くは、「数値予報モデル(NWP)」と呼ばれる、物理法則に基づいたコンピュータシミュレーションに依存しています。

例えば、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)が運用するIFS(Integrated Forecasting System)では、大気を格子状に分割し、気温や気圧、湿度、風速などの初期値を用いて、時間ごとの変化を計算しています。

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数値予報モデル / Credit:Wikipedia Commons

こうした数値モデルは非常に高精度ですが、同時に非常にコストがかかる方法でもあります。

膨大な計算量を処理するためにスーパーコンピュータが必要です。

さらに、大気汚染や海洋波、台風の進路といった個別の課題に対しては、それぞれに特化した別のモデルが必要とされる場合もあり、開発や運用には大規模なチームと資金が必要です。

こうした現状を打破するために開発されたのが、AIモデル「Aurora」です。

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天気予報AI「Aurora」が開発される / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

Auroraはまず、気象衛星、レーダー、地上観測所、既存のシミュレーションや予報データから得られた、合計100万時間以上にも及ぶ気象データを使って、一般的な天気パターンの学習を行います。

Microsoftによれば、これはAI気象モデルの学習に使われたデータとしては過去最大規模です。

この段階でAuroraは、わずか数秒で天気を予測する能力を獲得。

その後、波の高さや大気汚染などの特定分野に合わせて少量のデータで微調整を施すことで、さまざまな用途に対応できるようになりるのです。

では、このAuroraは自分の性能に関してどんな結果を残してきたでしょうか。

次ページ従来の天気予報モデルを超えた!天気予報AI「Aurora」の性能とは

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