AIは本当に人間の「笑いのツボ」を理解できるのか?

誰かが面白いジョークを言ったのに、自分だけピンと来なくて笑えなかった経験はありませんか?
逆に、自分が大笑いしたネタを友達に見せても、「なにこれ?」と反応されることもありますよね。
実はユーモアや「面白い」と感じる感覚には、文化や経験、感情といった複雑な要素が深く関係しています。
特に最近ネットで流行するミーム(画像に面白い文章をつけて楽しむユーモア表現)は、こうした要素が絶妙に絡み合い、多くの人々にウケています。
しかし、AI(人工知能)がそんな人間特有の「笑いのツボ」を本当に理解し、私たちが爆笑するようなミームを作り出せるのかは、まだ誰にもわかりませんでした。
近年、文章や絵画などの創作分野では、AIが人間のパートナーとして活躍しています。
特に大規模言語モデル(LLM)という最新のAIは、人間と一緒に作品を作り上げる能力が高いことが分かってきました。
ただ「笑い」を生み出すことは、単に文章や画像を作るよりもさらに難易度が高い作業です。
論文によれば、「ユーモアは驚きや対比、文化的文脈、感情的な共鳴といった要素に依存する」とされており、AIがそのような複雑な感覚を人間と同じように理解するのは、まだまだ難しいようです。
一方で、ミームは世界中の人がインターネットで楽しむ共通の文化になっています。
ミームは、誰でも気軽に共感したり、シェアしたりできるため、世界中で爆発的に広まることも少なくありません。
そこでスウェーデンのKTH王立工科大学のZhikun Wu氏ら研究チームは、人間とAIが一緒にミームを作った場合、一体どんな作品が生まれるのかを詳しく調べることにしました。
人間だけ、AIだけ、そして人間とAIの協力という3つの方法で作られたミームを比較し、どれが最も面白くてクリエイティブで、しかも「他の人にシェアしたい」と感じる魅力を持っているのかを実験で明らかにしたのです。
果たしてAIと人間の協力は、人間やAI単独の作品を超えることができたのでしょうか?