人間の爆笑力とAIの安定力が融合、「面白さ」の未来はこう変わる

今回の研究によって、AIと人間がそれぞれ異なる「笑い」の得意分野を持ち、その違いをうまく組み合わせれば、さらに魅力的で面白いコンテンツを作り出せる可能性が示されました。
まずAIは、たくさんのアイデアを瞬時に出すことができ、多くの人にそこそこ面白いと感じられるようなミームを作ることが得意です。
これはAIが膨大なインターネット上のデータを学習しているためで、多くの人が受け入れやすい「平均点の笑い」を安定して生み出す力があります。
しかし、その一方で、AIが作るジョークやミームは新鮮さや意外性が少なく、どれも似たようなパターンになりがちです。
つまりAIは、常に一定レベルの面白さをキープすることはできても、予測不可能で爆笑を誘うような斬新な発想を生み出すことは苦手なのです。
一方、人間は自分の感情や経験、文化的背景を豊かに持っているため、型にはまらないユニークな発想を生み出せる強みがあります。
実際、人間が単独で作ったミームの中には、多くの人が爆笑して高く評価するような、AIには到底思いつかない意外性やオリジナリティのある作品がありました。
このように、人間は深い共感を生む面白さや予想外のアイデアを生み出すのが得意であることが、今回の研究でもはっきりと確認されました。
では、AIと人間の強みを組み合わせたら、もっと素晴らしいミームができるのでしょうか?
研究の結果から見ると、その答えは「半分イエス」と言えるでしょう。
人間とAIが協力して作ったミームは「面白さ」部門こそ逃したものの「創造性」部門と「シェアしたくなる魅力」の2部門のトップをとりました。
これは「アイデアを出す」AIの力と、「最適なアイデアを選び磨き上げる」人間の力が上手に融合した成果であり、上手く利用すれば特定の目的を達成できる可能性を感じさせます。
しかし、今回の実験では、人間がAIと上手に協力できないケースも見られました。
多くの参加者がAIのアシスタントを一度しか使わず、十分にアイデアを引き出せなかったという問題がありました。
せっかくAIが優れたアイデアを数多く提供しても、人間がそれをうまく活用しないと、その可能性を十分に発揮できないということです。
これから先、AIと人間の協力をもっと効果的にするためには、人間がAIを活用しやすい環境を整えたり、AIと何度もやり取りを重ねることを促すような仕組みが必要になるでしょう。
今回の研究は、AIを単なる道具として見るのではなく、「創作パートナー」として考える新しい方法を示したと言えます。
AIは豊富なアイデアを瞬時に出す「発想のブースター」であり、人間はそのアイデアの中から本当に面白いものを見つけ、最終的に心に響く形に仕上げる役割を担います。
つまり、「AIがアイデアを大量に提供し、人間がそれをキュレーションして磨き上げる」という協力スタイルは、今後の創作活動をより効率的で魅力的にする可能性を秘めています。
実際、大手のスタジオが最も求めているAI人材は、AIに高品質の大量の情報を吐き出させた上で、最も優れたものを選定できる人だと言われています。
AIと人間がそれぞれの得意分野を理解し、上手に組み合わせていけば、ミームに限らず様々なジャンルで、もっと面白くて質の高いコンテンツを生み出せる未来が待っているかもしれません。
AIの話題なのにジト目お姉さんがいない…。
あの子結構お気に入りなのに…。