education

アドリブで演劇することで社会への不安が減る

2018.12.22 Saturday

社会との交流に苦しむティーン・エイジャーが増え続けるこの時代。自分の存在価値や先行きについて悩みを抱えたことがある人も多いのではないでしょうか。そんな中、ミシガン大学が「即興演劇」のトレーニングを行うことによって、若者の心理的な不安を軽減できるという新たな研究結果を発表しました

The use of improvisational theater training to reduce social anxiety in adolescents

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0197455618301928

■即興演劇で「社会不安が緩和した」

「即興」であることが特徴のこのトレーニングには、もちろん「台本」や「準備期間」は存在していません。研究の対象となったのはおよそ270人の中高生。彼らは10週間の即興演劇プログラムに参加して、その前後にアンケートに答えました。

アンケートの項目には、「即興演劇を人に見せるのは楽しかった」「ミスを犯すのは怖くなかった」などがあります。

そして研究者らがプログラム前後のアンケートを比較した結果、それぞれの項目から、プログラム後に子どもたちの「社会的な不安」が減少していたことが分かりました。これは、即興による演劇をすることで、子どもたちの社会的なスキルや創造性が向上して、彼らが「自信」を得られたことが要因として考えられます。

人は通常、「自分」というペルソナを作って生きています。しかし即興演劇では、別人格を強制的に演じさせられることによって、「自信のない自分 」による行動以外の周りの反応を疑似体験することできるのです。さらに「即興」という要素が加わることにより、ミスがミスではなくなり、それさえも劇の一部となります。そのような「別世界」を経験することで、子どもたちに社会的な自信が戻ってくるのです。

このプログラム後の子どもたちには、行動力が身につき、ミスを恐れることが少なくなったとのこと。

また、子どもたちの社会不安を緩和するものとして「即興演劇」を扱った研究は、これが初めてのものです。この方法は大掛かりなセットも必要なく、コストも少なく済むため、貧困地域の学校などにも導入されることが期待されています。

人生は筋書きのないドラマ。場面、場面での即興というのはもちろん仕事においても必要です。私たち大人にもこのトレーニングは有効そうです。今後、新入社員への教育などとしても取り入れられていくかもしれませんね。

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referenced: UNIVERSITY OF MICHIGAN / written by なかしー / edited by Nazology staff

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