算数の問題は例文の内容で得点率が異なる?
算数のテストでは、次のような問題が出されることがあります。
あめが15こあります。5人に同じ数ずつくばると、1人分は何こになりますか。
身近な物(食べ物、植物、文房具など)やストーリーを用いて、数学的な問題文を作るのは教科書では当たり前となっています。
このような例文を用いる理由は、抽象的な数学の概念について、子供が簡単にイメージできるようにするためです。
しかし、上述したような問題については、あめを分け合ったり、買い物を自分でするなど実世界での経験が乏しい子供だとイメージが難しくなる可能性があります。
では、これら実世界の経験に関わる問題文では、その内容によって子供たちのテストの結果そのものに影響が及ぶことはあるのでしょうか。
マスク氏ら研究チームは、この点を調べるため、2007年と2011年の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS:小・中学生を対象とした国際比較教育調査)のデータを用いて調査を行いました。
調べられたのは、58カ国の4年生(平均9.5歳)と8年生(平均13.5歳)の生徒500万人以上のデータです。
そして、以下に示すような数学(算数)問題の題材と、正解率、子供たちの家庭環境などの条件の関係について調べました。
- お金
- 食べ物
- 社会的関係(社会的なかかわりのこと。例:競争、協力など)
- 中立的な内容(例:ボタン、カエルなど)
- 数学表記(例:5631 + 286 = など)
すると、興味深いことに特定の問題文の出し方に対して、家庭の所得が有意に関連性を持つと示されたのです。