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コントロールする親は子供を傷つける / Credit:Canva
education

「コントロール=世話」だと勘違いする親はその愛で子供を傷つける

2025.08.19 11:30:43 Tuesday

子供を愛する親の行動が、必ずしも子供を幸せにするとは限りません。

「失敗してほしくない」「危険から守りたい」「将来うまくいってほしい」

こうした親の願いは、ごく自然で健全なものです。

でも、少し思い出してみてください。

あなたは子どもの頃、「それやめなさい!」と何度も言われたことはありませんか?

それは「本当に自分のためだった」と思えたでしょうか?

そうした行動の裏側に潜む“ある感情”が育児に入り込むと、逆に子供の発達を阻害してしまうことがあります。

その“ある感情”とは「不安」です。

心理学者ジェフリー・バーンスタイン博士(Jeffrey Bernstein, Ph.D.)は、親の不安が過保護や過干渉という形で子供に悪影響を与えている現状を報告しました。

本記事では、親の愛が暴走する4つの実例と共に、子どもへの影響を解説します。

The Hidden, Harmful Way Loving Parents Undermine Their Kids https://www.psychologytoday.com/us/blog/liking-the-child-you-love/202508/the-hidden-harmful-way-loving-parents-undermine-their-kids

親の不安が育児に与える影響とは?

親が「心配性」になるのは仕方のないことです。

現代は、治安、進学、就職など、あらゆる競争と不確実性に満ちています。

その中で、「わが子が失敗しないように」と願うのは、ある意味当然の行動とも言えます。

しかし問題は、この「不安」が親の行動にどう表れるかです。

時に不安は、お世話の域を超えて、子どもをコントロールするよう促します。

これは子どもにとって辛いことです。

これから、様々な年齢の子供たちに対して、親の不安がどのように悪影響を及ぼすか見ていきましょう。

ケース①:マヤ(4歳)──「登っちゃダメ!」で萎縮する探究心

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不安故、子どもが何かするたびに、不定や警告を繰り返すと…… / Credit:Canva

マヤの母・リサは、娘を思うあまり、いつも公園や子供向け遊具で口を出します。

「危ないよ!」「そこ登っちゃだめ!」「気をつけて!」

確かに、転んだり、ぶつけたりすれば危険です。

でもリサのように、子どもが何かをするたびに否定や警告を繰り返してしまうと、子どもは「挑戦」そのものを避けるようになります。

バーンスタイン博士は、「このような干渉は、子どもの好奇心を萎縮させ、結果的に“自分には無理かもしれない”という自己イメージを形成する」と指摘しています。

代わりに、「そばで見守ってるよ」「困ったら言ってね」といった信頼ベースの声かけをすれば、子どもは安心してチャレンジできます。

つまり、危険を防ぎたい気持ちは大切ですが、それを“監視”で表現してしまうと、子どもの自立心を押しつぶすことになるのです。

ケース②:ジョーダン(10歳)──「習い事づくし」で奪われた自由

ジョーダンは毎日多忙です。放課後はチェス、数学塾、水泳と、1分も無駄にしないスケジュールがびっしり。

親はこうした活動を「将来の成功につながる経験」と考え、善意で与えています。

しかし、そこには「この子が自由にしていたら損をするかも」という強い不安と焦燥感があるのです。

結果、ジョーダンは自分の時間を持てず、「何が好きか」「何をしたいか」を感じる力を失ってしまいます。

自由な遊びや無目的な時間は、創造性や自立心、内省力を育むのに不可欠な要素です。

バーンスタイン博士も、「予定を詰めすぎた子どもは反抗的・無気力になりやすい」と指摘しています。

成功への道を敷くつもりが、自己決定力を削ぎ、反発する心を育ててしまうのです。

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