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家から2055匹のクモが発見される / Credit:Canva
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2055匹の毒グモと一緒に”5年以上”生活した家族

2025.11.14 17:00:52 Friday

家の中でクモを見かける状況は、クモ嫌いにとって想像したくもないことでしょう。

そんな悪夢のような環境で、しかも「毒グモ」として知られるドクイトグモと、家族4人が何年も平然と暮らしていた、という信じがたい実例が、カンザス州で実際に報告されています。

このケースを詳細に調査したのは、アメリカ・カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)を中心とした研究チームです。

彼らは実際に家の中に潜んでいたドクイトグモの数を徹底的に数え上げ、そこから得られる教訓を科学的にまとめました。

この驚くべき調査結果は、2002年11月1日付の『Journal of Medical Entomology』誌に掲載されています。

An Infestation of 2,055 Brown Recluse Spiders (Araneae: Sicariidae) and No Envenomations in a Kansas Home: Implications for Bite Diagnoses in Nonendemic Areas https://doi.org/10.1603/0022-2585-39.6.948

カンザスで起きた“毒グモ屋敷”事件。ドクイトグモとは?

舞台となったのは、アメリカ中部カンザス州の郊外にある19世紀建造の石造り一軒家です。

1996年、この家に4人家族(両親と当時13歳・8歳の子ども)が引っ越してきました。

それ以前も長く人が住み続けていた歴史ある住宅です。

家族は入居直後から家の中でクモを見かけていましたが、それほど気にしていませんでした。

しかし、その正体が「ドクイトグモ」だと分かったのは、実に引っ越しから5年以上経った2001年夏のことでした。

ドクイトグモ(Loxosceles reclusa)は、アメリカ中南部を中心に分布する小型のグモです。

背中にはバイオリンのような模様があり、夜行性で非常に臆病な性格です。

昼間は家具や壁の隙間など、見つかりにくい場所にじっと潜み、夜になると昆虫などの餌を探して静かに活動します。

咬まれると、ごくまれに皮膚が壊死するなどの重症例も報告されていますが、実際にはドクイトグモが人を攻撃することはほとんどなく、押しつぶされるなど命の危険を感じた時にだけ咬む性質です。

この家で大量のドクイトグモが見つかったことを受けて、家族と研究者たちは「いったいどれだけの数が家の中にいるのか?」という前代未聞の調査を始めました。

捕獲は夜ごとに行われ、粘着トラップや手作業で家中をくまなく探し、1匹ずつ記録していきました。

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