親は「コントロール」ではなく「信頼」を愛の形だと知るべき
親の不安が子供に悪影響を及ぼすケースの後半も考えてみましょう。
ケース③:エヴァ(16歳)──“信頼されない”ことの絶望

エヴァは学校のダンスパーティに行きたがっています。
しかし、父親は「絶対にダメだ」と言い、他の親に連絡を取ったり、細かすぎるルールを課したりして、エヴァの社会的体験を“事前に制御”しようとします。
その結果、エヴァは参加をあきらめ、「どうせ何を言っても無駄」と口を閉ざしていきます。
これは、子どもの自己表現と親子の信頼関係の両方を損なう典型的なケースです。
バーンスタイン博士は、「ティーンエイジャーは、少しずつ社会的リスクに直面しながら、自分なりの判断力と責任感を育てていく必要がある」と説きます。
親が何もかも決めてしまうと、子どもは自立のために“反抗”するか、または“秘密主義になって内にこもる”ようになってしまうのです。
大切なのは、親が子供と懸念点について率直に話し合い、合意できる点を見つけることです。
ケース④:マーカス(25歳)──「親離れ・子離れ」ができない親子
社会人1年目のマーカスに、母親は毎日連絡してきます。
「ちゃんと食べてる?」「会社うまくいってる?」「上司とうまくやれてる?」
一見すると微笑ましいやり取りですが、マーカスにとっては「監視されている」「信用されていない」という感覚が強く、だんだん距離を取り始めます。
ここで問題なのは、親が子を「独立した一人の人間」として見ていないことです。
“見守る”のではなく“管理する”姿勢が続くと、成人後も子どもが自己決定する機会を失いやすくなります。
博士は、「親はモニタリング(監視)ではなく、メンタリング(助言)の立場に立つべき」と提言しています。
「何か困ったことがあったら話してね」「あなたなら大丈夫」などの信頼に基づく声かけこそが、健全な親子関係の鍵となります。

ここまでで、愛情深い親がどのように子供をコントロールし、悪影響を及ぼしてしまうか考えました。
親が子どもに干渉してしまう背景には、強い「不安」があります。
そしてその不安は、親に「コントロールすること」と「世話」が同じことだと勘違いさせます。
しかし、バーンスタイン博士が繰り返し強調するのは、次の点です。
「親の不安が強ければ強いほど、子どもは“あなたは一人じゃ生きていけない”というメッセージを受け取ります。」
これは、子どもに“依存”か“反抗”という不健全な選択肢しか残さない危険なメッセージです。
子どもに本当に伝えるべきは、「あなたは自分で考え、選び、成長できる存在だ」という信頼のメッセージです。
その信頼が、子どもに“自信”と“挑戦する勇気”を与えるのです。
人類の生みの親である神自体がそれをできていないのですから、それの創造物である人類にできるはずがなく…。
人工知能に対しても管理する気まんまんですしね。
それ、人類の子供ですよ?