psychology

「達成しなくてもいい目標」が人を幸せにする?禅問答のような研究結果に困惑

2019.02.22 Friday

Point
・達成可能な目標を定めることが人を幸せにするという論文が発表
・達成可能な目標を持つと人生の満足度が高いという研究結果に
・達成できたかどうかは関係が薄く、達成可能な目標を持てたかが重要

────今試される「目的」のアイデンティティと存在意義……!

バーゼル大学の研究によると、人は自身の目標について「達成可能である」と感じていると、人生に幸福を感じられることが分かりました。この研究で驚くべき点は、「達成可能と感じていれば、実際に達成できたかどうかはほとんど関係ない」ということです。バーゼル大学の研究チームによるこの論文は、科学誌『European Journal of Personality』で掲載されています。「達成しなくてよい目標」という一見禅問答のような研究結果ですが、一体どういうことなのでしょうか。

A Closer Look at Life Goals Across Adulthood: Applying a Developmental Perspective to Content, Dynamics, and Outcomes of Goal Importance and Goal Attainability
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/per.2194

実際に達成できなくても問題ない

研究チームは、18歳から92歳の973人に対してアンケートを実施しました。アンケートの内容は、自分の人生における10個の分野(健康・コミュニティ・個人的な成長・社会との関係・名声・心象・富・家族・若い世代への責任・仕事)の目標について、それぞれで達成が可能であると感じるか、またその目標は大事かどうかを4段階で回答するものであり、参加者の半数にはさらに2年後と4年後に追跡調査が行われました。

アンケートと追跡調査の結果、アンケートで自分の目標が達成可能なものだと感じていた人は、追跡調査の時点で精神的、感情的な幸福を感じている傾向が高いことが分かりました。また、実際に達成したかどうかはほぼ関係がなく、「どれだけ達成可能だと感じたか」が最も大きな影響を与えるという結果が出ました。

そして、目標の「内容」に関しても人生の質に大きな影響を与えることが明らかになりました。たとえば、社会的関係が目標の中心である人ほど、生活の中で社会的関係に満足していることが分かったのです。つまり、人は自分が人生の目標を持った分野で満足することができるという結果が得られたことになります。

そのため、自分にとってベストな目標が何なのかを見つけ出すことが大切であると著者は主張しています。しかし何よりも重要なのは、目標を「達成可能なもの」にすることです。高い目標を掲げるにしても、小さな達成可能な目標の塊に分解してしまいましょう。たとえ目標に届かなくても、「達成可能」と思っている限りは幸せになれるのです。

目標、アイデンティティ喪失どころか「達成可能であれば存在するだけで人生を良くしてた」とか好感度上がっちゃいますね!
……あれ? でも人生を良くするために目標を使うのは目的の手段化なのでは???

────再び試される「目標」のアイデンティティ!

「独身生活」の満足度は年々向上していることがわかる パートナーの有無は無関係

reference: zmescience / written by 白大根

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