上下関係の厳しいニワトリ社会
養鶏家たちの間では、ニワトリの群れに明確なヒエラルキーが存在していることはよく知られています。群れの中で最も大きくて強く、攻撃的な個体が、集団のトップに立ち、鶏舎の中でも一番快適なねぐらを占領するのです。
他にも水や食料、水浴びの順番も必ず、群れのボスが最初となります。ニワトリたちの間には、厳しい上下関係があり、強い個体が弱い個体を脅して、自分たちの傘下に入れるのです。
しかし一方で、群れのボスたちは、「仲間を守る」という極めて重要な責任も請け負っています。彼らは、群れを脅かすような天敵が近くにいないかどうかを逐一チェックしており、危険が迫れば、他のニワトリたちを安全な場所へと導きます。
そしてもし逃げる場所がなければ、強い個体たちが先陣を切って天敵に立ち向かうのです。キツネ惨殺事件は、まさにその実例となりました。
もちろん、こうした階級制度は、ニワトリたち自身のコミュニティーの秩序にとっても重要なものです。上下関係がなく、いつも仲間内で小競り合いをしていれば、種の存続自体が危ぶまれます。
天敵だけではなく、共同体の平和を保つためにも、厳しいヒエラルキーは必要なのです。
今回のニュースは、ニワトリの群れの強さが際立った事件となりましたが、実は、個体としてのニワトリにも凶暴性はあります。2016年に、中国の研究者が発表した論文によると、ニワトリの中には、攻撃的な行動特性と結びついている遺伝子が存在することが分かっているのです。
朝方、「コケコッコー」なんて悠長に鳴いてる柔和なイメージのニワトリですが、実は、宵闇の極道が真の正体かもしれませんね。