「穴掘り」だけじゃない 「物を溜めて環境を操作する」習性も持つげっ歯類
実は、衛生上の理由で生活圏をきれいに整える生物は珍しくありません。ミツバチは巣の中から死骸を除去し、オスの魚は卵に付着したカビや泥を取り除くことが知られています。鳥もまた、求愛ダンスを披露する「舞台」の上に散らばったゴミを片付けます。
一方で、こうした習性を持たないげっ歯類の生得行動には、別の習性が関連しています。
北米に生息するPackrat(モリネズミ)は、光る物、石ころ、木片などを集めて巣の中に持ち込み、文字どおり”Pack”する(詰め込む)習性を持っています。また、ネズミの中には、食糧が豊富な時期にそれを溜め込み、食品貯蔵庫としてキープするものも。

このように、げっ歯類の多くには、縄張りの中で見つけた珍しい物体を土に埋める習性がありますが、これは彼らが持つ穴掘りの習性が発展して生まれたものだと考えられています。穴を掘るのが大好きなげっ歯類にとって、掘りたいという衝動は行動レパートリーの重要な部分を占めています。
また、ネズミは寝床を整える習性も持っています。撮影されたネズミの行動も、「物を溜めてはそれらを埋め、環境を操作する」という自然な反応の延長線上にあるものなのかもしれません。動画のネズミの場合、縄張りの中に置かれたさまざまな物に混乱して、自分が安全だと判断する場所、つまり道具箱の中にそれらを隠したのでしょう。