
■ネットフリックスをはじめとした動画ストリーミングサービスの普及により、映画館は廃れることが予想されていた
■実際には米国の2018年の興行収入は記録的なものとなっており、両者は現時点でうまく共存しているといえる
■ストリーミングサービスよりも劇場で映画を公開するほうが、グローバルカルチャーへの即座の影響が得やすいと考える映画製作者もいる
映画館をみくびってた。
ネットフリックスをはじめとした動画ストリーミングサービスは、たしかに私たちの動画メディアに対する常識を覆しました。しかし、家で動画コンテンツを楽しむ人は、映画館へと足を運ばなくなるといった仮説はデタラメに過ぎないといったことが分かったのです。
映画館に足を運ぶ人は増えている
先週ラスベガスでおこなわれた映画イベント「CinemaCon(シネマコン)」にて、映画配給会社や劇場のオーナーは、口を揃えてストリーミングサービスは恐るるに足らないと述べています。それはたとえストリーミングサービスが、あのディズニーやアップルが、これから力を入れようとしている分野であったとしてもです。
昨年、アメリカ国内の興行収入は記録的なものとなりました。その額は119億ドルにまで達し、映画のチケットが売れた枚数は前年と比べて5%上昇、そしてそれはアメリカの全人口の75%にあたる2億6,300万人が、少なくとも1度は映画館へと足を運んだ計算になります。

「誰でも家にキッチンがあるのに、外食することもあるでしょう」そう語るのは、アメリカ映画協会(MPAA)のCEOを務めるチャールズ・リブキン氏です。リブキン氏は、エンターテイメント業界に新たなテクノロジーが導入されるたびに、この手の心配がなされてきたといいます。テレビやケーブルチャンネル、スマートフォンは映画界にとって脅威になるといわれてきました。
「だけど、私たちはまだ生き残っています」
そう語るリブキン氏は2017年から、ディズニー、パラマウント、ソニー、20世紀フォックス、ユニバーサル、ワーナー・ブラザーズといった主要スタジオが名を連ねるMPAAの舵をとっており、そこについに、ストリーミング・プラットフォームとしては初となるネットフリックスが加盟を果たしました。
リブキン氏は、「劇場と家庭でのエンターテイメントの分野は、両者ともに2018年に大きな成長をみせています。そしてそれは、この業界に関わるすべての人が共に成長できていることを意味しており、とても素晴らしいニュースであるといえるでしょう」と語ります。
監督が「劇場公開」を選ぶ理由
とはいえ、ネットフリックスと映画館オーナーとの間に、まったく緊張関係がないわけではありません。ネットフリックスは、劇場運営者たちが希望している期間を待たずに、動画をストリーミングで流してしまうことで知られているのです。
一般的には、ハリウッドのスタジオやアマゾンさえもが90日間の劇場公開期間を設けており、この期間では映画は劇場のみで公開され、ビデオオンデマンドやストリーミングサービスは利用できないこととなっています。無論、この期間が長いほど、映画館のオーナーは稼ぎやすくなります。

しかし、映画製作者や映画館のオーナーが、劇場での映画公開を望むのは経済的な理由だけではありません。映画『クレイジー・リッチ!』の監督ジョン・チュウは「私たちは『クレイジー・リッチ!』の公開を劇場にするのか、ネットフリックスにするのかを決めなければなりませんでした。こうした選択を前に迷ってしまう人もいると思いますが、私たちの答えは決まっていました」と語ります。
「もしグローバルな規模のカルチャーに影響を与え、すぐに話題になりたいのであれば、私たちの映画をリリースする方法は1つしかないと思っていました。それは劇場での公開です」
シアターでの映画放映と、家でのストリーミングサービス。生産者と消費者の両方がそれぞれにメリットを感じているからこそ、この2つはうまく共存できるのでしょうね。

















