■アマチュア天文家グループ「シエル・オストラル」が「大マゼラン雲」の鮮明な全体像撮影に成功
■1060時間という長時間露光による撮影法で実現した
■特定の可視光線を特殊なフィルターを使って捉えることで、見えにくい夜空の部分を強調した
アマチュアでもガチ勢。
南の夜空に輝く「大マゼラン雲」は、私たちが暮らす天の川銀河のすぐ近くにある銀河です。なんとこの「大マゼラン雲」を長時間かけて撮影し、1枚の写真にまとめてしまったツワモノが現れたのです。
「超」長時間露光による撮影
天体写真というのは、昼間にスマホでパシャッと撮るなんて生易しいものではありません。暗い夜空に輝く星たちを鮮やかに撮影するには、シャッターを開きっぱなしにしてカメラの中に光を取り込むという方法が効果的なんだとか。
これは「長時間露光」と呼ばれる撮影方法で、光を多く取り込んだ分だけ、暗い箇所の鮮明度も増していきます。通常の「長時間露光」は数秒から数分間、長くても数十分です。あまりにも露光時間が長すぎると、画像の複雑さが増して処理が難しくなるらしいんです。
ところが今回撮影された画像のトータル露光時間はなんと1060時間!
長時間かけて撮影された圧巻の写真の全体像がこちら。
かなり根気と忍耐を要する偉業をやってのけたのは、5人のアマチュア天文家で構成される「シエル・オストラル」というフランス人天体写真家グループ。
撮影場所は地球上で最も美しい夜空が見られる場所の1つである、チリ・コキンボ州の「El Sauce天体観測所」。撮影は2017年から2019年の間の数ヶ月間(1060時間)にわたり、撮られた画像の総データ量は620GBに上ります。超長時間露光のおかげか、やはり画像処理にも数百時間費やされたらしいです。
使用された機材は「APO天体望遠鏡(160mm型)」および「Moravian CCDカメラ」です。画像を見れば一目瞭然なように、光の色味がとても鮮やかで美しいですね、
これは特殊なフィルターを使って、Hアルファ線やサルファー線といった波長600nmあたりの可視光線を捉えることで可能になったそうです。おかげで「ネビュラ」のようにガスが高密度で寄り集まった地帯にある物質を際立たせて撮影することに成功しています。
あまりの鮮明さに本職の天文学者たちも非常に興味を惹かれているそうです。すごい…。