銀河系に存在する星系の約半分が、2つまたは3つの太陽を持つ連星系です。
私たちの太陽系は、当然唯一の恒星である太陽を中心に回っていますが、実は太陽を2つ持つ連星系になっていた可能性があるのです。
その第2の太陽候補が木星であり、木星は初期の太陽系で、恒星になる寸前まで来ていた惑星なのです。
もしそうなっていたら、熱くて地球に生命が生まれなかった可能性もありますが、2つの太陽が登るスター・ウォーズのタトゥーインのような惑星になっていた可能性もあります。
そんなちょっとワクワクする可能性について、考察してみましょう。
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木星はあと少し重ければ太陽になれた
木星は太陽系最大の惑星、ということは有名な事実ですが、その大きさは一番大きいとかいうレベルではなく、圧倒的です。
太陽系にある木星以外のすべての惑星質量を足し合わせても、木星質量の半分にも及びません。
土星はサイズこそ木星に迫る大きさですが、質量では木星の30%もありません。水よりも密度が低いため、土星は水に浮かべることも可能なくらい軽いのです。
地球その他の惑星の質量に至ってはまさに誤差レベルと言えるでしょう。
太陽のような核融合で輝く星は主系列星と呼ばれます。
もし、木星が現在の80倍の質量があれば、コアはその圧力によって水素の核融合をはじめ、主系列星の末席である赤色矮星の仲間になることができます。
80倍って…それはあと少しって質量なの? と疑問に思う人は多いかもしれません。
確かに80倍は、地球上の物質で考えた場合、とんでもないサイズ差かもしれません。100kgの体重の人が8tになったらそれは大事件でしょう。
しかし、天文学の世界で考えた場合、80倍という質量差はあまり大したことありません。
初期の太陽系では、塵とガスが暴風のように吹き荒れる円盤で、塵や岩石がぶつかり合い合体し、ガスを吸い上げて惑星を形成していました。
木星の場合、小さな岩石や氷の塊がおよそ地球の5~10倍質量のコアを作り出して、急速に周囲の水素やヘリウムを吸い上げていきました。
こうした惑星の成長速度は、サイズに従って指数関数的に上昇していきます。大きくなればその分、周囲の物質を吸い寄せる重力は大きくなるため、成長速度は一気に加速します。
木星も現在のサイズまで巨大化しているなら、ここから一気に80倍のサイズまで成長していてもおかしくはなかったのです。
もしちょっとでも原初の太陽系の環境が異なっていたら(例えば原初の太陽を囲む物質の量がもう少し多かったら)、木星はそこから一気に物質を吸い寄せて、第二の太陽として点火したかもしれません。
ただ、連星系の惑星は2つの太陽に常にさらされるため、水が蒸発してしまうか、太陽から離れすぎて凍結してしまうかのいずれかになり、生命は誕生できない可能性が高くなります。
この場合、生命に溢れた水の惑星「地球」は太陽系に誕生しなかったかもしれません。
でもひょっとしたら、2つの太陽を眺める地球に私たちは住んでいたのかもしれません。それはちょっとロマンがある話です。