Point
■2017年、アラスカ州にあるヌナレク村で6万点の遺物品と28体の遺体が発見された
■遺体には槍や矢による無数の穴が空いており、アラスカに伝わる民間伝承と奇妙に一致していた
■伝承は2人の子供の単なるダーツゲームから始まり、それが悪化して少年が属する村同士の争いへと発展する
2017年、アラスカ州にある「ヌナレク」という村からおよそ6万点に及ぶ遺物品と、28体の遺体が発見された。遺体はどれも女性や子供、老人のものばかりで、蔓状の縄で縛られた体には無数の穴が空いていたという。
一体、誰が何のために28人もの虐殺を行なったのだろうか。
スコットランド・アバディーン大学の研究チームによると、この事件はアラスカに古くから伝わる伝説「弓矢戦争」を証明する可能性があるようだ。
死体が語るもの
この村には「ユピク族」と呼ばれる人々が暮らしている。f古くからアラスカの地に住み続けている先住民だ。ヌナレク村から出土した遺体や遺物品もユピク族のものと思われる。
アバディーン大学研究チームのリック・クネヒト氏は「年代調査によって遺体や遺物が埋められたのは約400年前だと判明した」という。出土品の数々は人形や踊り用の木製マスク、草で編まれたカゴなどが含まれていた。
地表を覆っていた永久凍土のおかげで、保存状態はきわめて良好だった。これらの遺物品を鑑みると、当時のユピク族の生活水準もかなり高いものだったことが推測される。
発見された遺体はうつ伏せに寝かされており、背骨には槍か矢のようなもので無数に穴が空けられていた。もはや死人が犯人を語ることはないが、クネヒト氏は遺体を見て、ユピク族にまつわる恐ろしい伝承を思い出したそうだ。
「弓矢戦争」と呼ばれるその伝承は、何と子供の単なるダーツゲームから始まったのだという。