顕著性ネットワークと他の神経網の機能性結合が大幅改善
研究チームは、音楽を聴かせる早生児、音楽を聴かせない早生児、音楽を聴かせない満期出産児から成る3グループを用いた二重盲検試験を行った。睡眠中の子どもたちの脳を事前にMRIで解析したところ、早生児は脳領域間の機能的結合が弱い傾向にあることが分かった。
特に、探知した情報を特定の時間に紐づけて評価することが苦手で、機能すべき他の神経網との接続を行う「顕著性ネットワーク」の働きが弱かった。このネットワークは、学習、認知、社会的関係、感情管理において、重要な役割を担うものだ。
集中治療の間、早生児はドアの開け閉めやアラーム音などの自分の状態とは無関係な刺激に圧倒されることが多い。子宮の中で、自らのリズムを母親のリズムに合わせて調整できる満期出産児と違って、早生児は刺激とその意味の関連を見出すことが難しい。
これらの早生児にフォーレンヴァイダー氏作の曲を聴かせたところ、顕著性ネットワークと聴覚ネットワーク・感覚運動ネットワーク・前頭葉ネットワーク・視床ネットワーク・プレチューナスネットワークとの間の機能的結合がどれも顕著に改善し、神経網組織が満期出産児のものに近づいた。驚くべき効果だ。
試験を受けた子どもたちは、現在6歳。もし神経心理学的異常があるとしたら、それが明らかになりはじめる年頃だ。研究チームは、子どもたちを再び集め、認知・社会・感情機能の評価を行う予定だ。生後間もない時期に観察された効果は、果たして今も継続しているだろうか。
この研究は、この世に少し早く生まれてきた小さな命と、その健やかな成長を心から願う親たちにとって、希望の光となるだろう。