徐々に明らかになるブラックホール周辺の状況
この音速の事象の地平面で生成されるフォノンの振る舞いを見た場合、一部は事象の地平面の向こうへ捕らえられるが、対で生まれた一方は脱出することが確認出来たという。
これはあくまで擬似的な実験だが、十分にホーキングの理論的予想を支持する証拠だという。
新しい実験では、この粒子反粒子と等価な音波のペアをより強い信号として観測することが出来たという。それにより、事象の地平面に起こる現象について、より有効な検出方法を提供できるという。
ホーキング放射により検出される温度は、高くても60ナノケルビンというとてつもなく小さいエネルギーだ。今回の研究では、そんな非常に小さい事象の地平面の放射を捉えるために、検出方法をかなり更新させたようだ。
擬似的なブラックホールと、そこで起きる現象の測定がだいぶ安定してきたので、研究者たちは次のステップとしてこのホーキング放射という現象が時間と共にどのように変化していくかを今後は実験を繰り返すことで明らかにしたいと語っている。
ブラックホールが作れなくても、擬似的なものなら作れる。実験物理学者の執念は本当にすごいものだ。
ちなみにブラックホールが蒸発すると言ってもそれは非常にゆっくりとしたものだ。太陽と同じような質量のブラックホールが合ったとしても、それが蒸発するには兆や京を超えた桁の年数が掛かるという。
もはやスケールが違いすぎて我々には意味がわからない。