天文学は地道な作業
リービットの地道な作業から見出された知見により、これまでまったくわからなかった遠い恒星と地球との距離が、変光星の明るさを確認できる6500万光年まで測定可能になった。
星を眺める天体観測は、ロマンあふれる職業にも思えるが、そこには様々な地道な苦労がある。
今回、暗黒物質が存在しないと勘違いされた銀河についても、精密な測定と計算の結果6400万光年と思われていた距離が、4200万光年であることが明らかとなり、銀河の質量についても修正されることとなった。
これにより、やはり暗黒物質は存在しているという結論に落ち着いたようだ。
この距離の測定ならば、リービットの発見した変光星を使った測定も活躍したことだろう。
今回のカナリア研究所の発表は間違いを修正するものとなったが、この研究は天体物理学において、銀河系距離の正確な測定がいかに重要であるかを示してくれている。そして、遠い天体の距離を測定することが、いかに困難な作業であるかということも伝えてくれている。
銀河の距離の測定に最初の光を与えたリービット。彼女の存在を知ったある数学者は「ノーベル賞候補者に推薦したいほど感銘を受けた」と語ったそうだ。
こんな天文学の歴史にも興味を抱いた人は、ぜひ『サイモン・シン筆 宇宙創生』を読んでみよう。