重力以外とは相互作用を持たない鏡像物質
また、この鏡像物質は理論上では物理学の4つの力のうち、重力以外とは相互作用を持たないと考えられている。
素粒子には、物質を構成する元となるフェルミオンと、力を伝えるボソンが存在している。このボソンについても鏡像世界では全て反転したミラー粒子になってしまうというのがその理由だ。
私たちが物を見るために必要な光は、光子という電磁力を伝えるボソンだ。これも鏡像物質には、ミラー光子しか作用しないため、光子の反射で物を見ている我々の目には観測することができない。
重力にもグラビトンというボソンがあるはずだが、これはまだ見つかっておらず、しかも重力はちょっと別格の存在のようだ。そのため、ミラーグラビトンは存在しないようだ。
こうなると鏡像物質は、目には見えず電磁波などの観測も一切できないけれど、重力の影響だけは現実の世界に与えている物質ということになる。
おっと、なにかそんな物質に心当たりがないだろうか?
そう、宇宙の質量の大半を占めると言われている暗黒物質だ。
実は暗黒物質の正体は鏡像物質ではないかという予想がある。確かにこの考え方ならば辻褄が合うため、もし鏡像物質を発見できたならば、暗黒物質の謎も解明されることになるかもしれない。