Point
■アメリカ・ワシントンで、地元に住む女性がタコにアゴを噛まれて毒が周り、病院送りになる事故が発生
■噛まれてから2日後には、痛みが顔全体や喉、腕に広がり、食べ物を飲み込むこともできなくなった
■タコの多くの種類には、くちばしや唾液に獲物を麻痺させたり、殺したりできる神経毒が含まれている
タコを使ったおふざけは控えましょう。
今月2日、ワシントンのフォックス・アイランド在住のジェイミー・ビセリアさんが、タコにアゴを噛まれ毒が身体にまわり、病院送りとなる事故が起きました。
ビセリアさんは地元の釣り会社「South Sound Salmon Sisters」のオーナーを務めており、この日は地元の釣りコンテストに参加していました。
一緒にいた漁師の男性が一匹のタコを釣り上げ、それに気づいたビセリアさんはフォトコンテスト用にタコを借り、顔に貼り付けた状態で写真を撮影。
そのとき、タコが鋭いくちばしでビセリアさんの顎に噛み付いたのです。
ビセリアさんは「2度も噛み付いてきて、先の尖ったかぎ状のフックが肌に食い込むのを感じました」と話します。
慌ててタコを顔から引き剥がすと、30分もしないうちにアゴが真っ赤に腫れ上がったのです。2日後には痛みが顔全体や喉、腕にまで広がり、食べ物を飲み込むこともできなくなったと言います。
その後すぐに救急病院に駆け込み抗生物質を打って事なきを得たようですが、医者からは1ヶ月の間は腫れが引いたり戻ったりすると診断されました。
ビセリアさんはタコが毒を持たない普通のミズダコだと思っていたようですが、専門家によるとOctopus rubescens種という毒を持つタコだった可能性が高いとのことです。
タコは骨のない柔らかい体をしていますが、口にはキチン質でできた鋭いくちばしがあります。タコは獲物となる貝類などを捕獲すると、くちばしを使って貝殻に穴をあけ、そこから毒を注入して獲物を麻痺させてしまうのです。
タコの多くの種にはくちばしに体を麻痺させる神経毒が含まれていますし、唾液にはチラミンとセファロトキシンというタンパク質が含まれていて、獲物を麻痺させたり殺したりもできます。
基本的にタコの毒は人に対して、腫れや痛みを引き起こす程度で死に至ることありません。ただ一匹だけ、ヒョウモンダコ(Hapalochlaena lunulata)の毒は人間でも死に至ることがあるので絶対に近づいてはいけません。
夏真っ盛りで海に行くことも多い季節ですが、タコを無下に扱うことだけはやめておきましょう。もし顔に張り付いて取れなくなったら、一生をデイヴィー・ジョーンズ顔で生きていかないといけませんから。