Point
■7歳の男の子の顎から、526本の小さな歯が埋もれた病巣が摘出された
■この病巣は、集合性歯牙腫と呼ばれる、歯胚の形成異常から生じる組織の形態異常の一種
■一個人にこれほど多くの小さい歯が見つかった例は今回が初めてで、原因は遺伝と環境被害のどちらによるものか不明
ある日、インド・チェンナイの歯科大学病院に7歳の男の子が運び込まれました。男の子の顎は異常に腫れ上がっており、両親はガンではないかと心配したのです。
ところが医師たちが調べたところ、驚くことに、526本もの歯のようなものが埋もれた巨大な塊が顎の中から姿を現しました。
レントゲンとCTスキャンをしたところ、なんと男の子の口には500本を越える歯が生えていたのです。
その中に小さな硬い構造物がたくさん埋まっていることを発見しました。
その正体を探るため、男の子に麻酔をかけ、1時間半の外科手術によって病巣を丸ごと摘出。その重さなんと約200グラムで、割って内部を調べると、除去された歯の大きさは1〜15ミリメートルほどあったといいます。
実は、この男の子が顎の腫れを理由に病院を訪れたのは、今回が初めてではありませんでした。
3歳の時点で両親は異常に気づいていましたが、当時まだ幼なすぎた男の子から医師たちへの協力を得ることがどうしてもできず、そのままになっていたのでした。それから4年の歳月が流れる間に、顎の腫れはますます大きくなりました。
この病巣は、集合性歯牙腫と呼ばれる、歯胚(歯の芽)の形成異常から生じる組織の形態異常の一種です。
外科手術を行った病院Saveetha Dental Collegeの報告よると、一個人にこれほど多くの小さい歯が見つかった例は今回が初めてとのこと。
男の子は腫瘍の成長によって大臼歯の成長が妨げられていましたが、遺伝と環境被害のどちらが原因かは分かっていないそうです。
この貴重な発見に医師たちも学生たちも大きな関心を寄せ、「小さな歯のパンドラボックス」と呼んでるのだとか。男の子本人も、手術後は痛みが消えてとても喜んでいるそうで、本当に良かったですね。