「毒親」という言葉が登場して久しい昨今。ひどい親によって苦労した経験を語った「毒親本」という書籍ジャンルも形成されるほど、毒親の存在は世間に知られるようになりました。
毒親に悩む子どもの中で代表的な悩みは、「子ども時代にひどい育てられ方をした時、その傷は癒やされるのか?」「自分が立ち直りはじめていることはどのように分かるのか?」というもの。
母と娘の問題を専門とするサイエンスライターのペグ・ストリープ氏の元が、これらの質問に答えています。
子ども時代の経験から立ち直るとは、どういうことか?
西洋文化の「癒やし」は「物や人を無傷な状態へ回復すること」を指します。
しかしストリープ氏は、日本の伝統文化の1つである「金継ぎ」を比喩に用いて、心の「癒やし」を再定義しようとしているのです。
金継ぎとは、磁器や陶器が割れた際に、金・銀・銅などの貴重な金属を練り込んだ漆を使って破片をつなぎ合わせる修復方法のことです。
金継ぎを施した器は、傷跡が見えるだけでなく、傷跡そのものが独自の模様を作り出し、その物が持つ歴史を顕示します。朽ちる過程をあえて残した器は、回復力を象徴する新たな美として生まれ変わるのです。