コンピューター分析によるルールの再構築
研究チームはルール解明のために、古代ゲームをモデル化し、そこからルールセット(複数のルールのまとまり)を生成して評価するシステムを作りました。このシステムは「Ludii」と呼ばれ、遺伝学やAI研究にも用いられている計算技術を備えています。
プロセスの第一段階では、モデル化されたゲームを構成要素に分解し、それらを「ルデーム(ludemes)」という単位としてデータベース内で体系化します。いったんゲームをルデームに基づいて記述すると、機械がパターンを理解して分析できるようなコンピュータプログラムとなります。
このとき、ゲームが行われていた場所や時代に関する文化的背景も記録され、新しく生成されたルールセットの妥当性を評価する有益な情報として使用されます。
その後チームは、データベース内の情報を使って、プレイの妥当性や可能性を様々に変化させた複数のルールを再構築します。
それが終わったら、AIが新たに生成されたルールを順番に試していき、駒の動き等のリストを作成。その情報をもとに研究チームが最も有効にプレイできるルールを判断するというわけです。
実際こうしたアプローチは、すでにある程度の成功を納めています。2006年、考古学者がスロヴァキアの遺跡で発見された古代ローマのボードゲームについて、研究チームはプレイ可能なルールを特定したそうです。
一つのゲームでも地域や時代によってルールが変わることがありますが、そこから人々の暮らしが見えてくるものです。今後もデジタル考古学というアプローチで、古代のゲームが現代に復活することに期待しましょう。