history archeology

ヨーロッパの海底に沈む「失われた大陸」が発見される

2019.09.26 Thursday

Credit: VAN HINSBERGEN ET AL., GONDWANA RESEARCH (2019)

Point

■南ヨーロッパの地底(地中海領域)に沈む失われた大陸「大アドリア大陸(Greater Adria)」の存在が明らかに

■大アドリア大陸は、パンゲアから分裂した「ゴンドワナ大陸」に属していた

■現在の北アフリカからさらに分裂した大アドリアは、北上して南ヨーロッパに衝突し、海に沈んだと考えられる

ユトレヒト大学の研究により、地中海の底に眠る「失われた大陸」が発見されました。

「大アドリア大陸(Greater Adria)」と命名された大陸は、およそ2億年以上前に北アフリカから分裂し、1億4000万年前に南ヨーロッパの下に沈んだことが判明しています。さらにその大きさは、グリーンランドと同等の大きさを持つとのこと。

この大陸は、かつて海の底に沈んだとされる伝説の孤島「アトランティス」とは別物のようです。

研究は「Gondwana Research」に掲載されています。

Orogenic architecture of the Mediterranean region and kinematic reconstruction of its tectonic evolution since the Triassic
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1342937X19302230

1億4000万年前にヨーロッパと衝突

かつて世界の大陸は、「パンゲア」と呼ばれる巨大な一枚岩となって存在していました。それが古生代ペルム紀の終わりである約2億5000万年前に、北の「ローラシア大陸」と南の「ゴンドワナ大陸」に大きく分裂します。

パンゲアの分裂/Credit:ja.wikipedia

ローラシアはその後、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸を形成し、ゴンドワナは、アフリカや南アメリカ、オーストラリア、南極大陸へと姿を変えました。

今回その存在が明らかにされた「大アドリア大陸」は、ゴンドワナに属する第5の大陸であったことが判明しています。研究チームによると、大アドリア大陸は、およそ2億4000万年前にゴンドワナ大陸から分裂して、独立した大陸を形成しました。

その後、1億4000万年前頃にグリーンランドほどの大きさとなった大アドリア大陸は、南ヨーロッパのプレート下に沈みはじめ、上部の岩石が削り取られていきます。プリンの横からスプーンを入れて、上と下に別れる感じです。

Credit: pixabay

この上部分が、アルプス山脈やバルカン半島、ギリシャ、トルコの山岳になったといいます。

ところが、現在大アドリアの名残としては、ブーツ状になっているイタリア半島のかかと部分を含むわずかな領域しか残されていないそうです。

そして、南ヨーロッパにぶつかったことで大アドリアの下部分は、バラバラに砕かれてプレートの下に押し込められています。

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