Point
■手を繋ぎ合って埋葬された約1,500年前の遺骨「モデナの恋人たち」が、どちらも男性のものであることが判明
■歯のエナメル質に存在するタンパク質「アメロゲニン」の調査で明らかに
イタリアのエミリア=ロマーニャ州の都市モデナに、一組の有名な恋人たちがいます。
1,500年も前から土の中で手を繋いできた「Lovers of Modena(モデナの恋人たち)」。2人は発掘当時から「仲睦まじい男女のカップル」としてメディアに取り上げられてきました。
しかし今回、この2人がどちらも男性であることが伊ボローニャ大学による調査で明らかになりました。どうやらこの2人、そもそもカップルでもない可能性が高いようです。
論文は、雑誌「Scientific Reports」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41598-019-49562-7
歯のエナメル質に存在するタンパク質「アメロゲニン」が鍵に
2009年の発掘当時は、保存状態の悪さから遺骨の性別の判定はできませんでした。今回遺骨の性別が正確に判定できたのは、歯のエナメル質に存在するタンパク質「アメロゲニン」を調べる新技術のおかげです。
アメロゲニン遺伝子は、X染色体とY染色体の両方に存在します。X染色体上のアメロゲニン遺伝子をAMELX、Y染色体上のアメロゲニン遺伝子をAMELYと呼びます。AMELXが男性と女性の歯のエナメル質の両方に見られるのに対し、AMELYは、男性の歯のエナメル質にしか見ることができません。
2体を調べたところ、両方の歯からAMELYを発見。どちらも男性の遺骨であることが明らかになりました。