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脳内には多くの情報が集まる「ランドマーク的な領域」が存在していた

2019.09.30 Monday

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Credit:pixabay

Point

■脳内のネットワークには、双方向回線、一方通行回線が存在しているが、現状それらを見分ける手段が無い

■新しい研究は、この問題に対して脳内にパリ凱旋門のような、多くの情報がアクセスしやすいランドマークが存在していることを発見し、情報の伝達方向を推測できるようにした

■脳内情報の正しい伝達方法を理解することは、うつや統合失調症のような精神疾患の原因特定や、改善に大きく貢献する可能性がある

脳内の神経ネットワークは、信号の送受信によって情報を交換しあい、外部の世界の認識や、難しい意思決定を行っています。

しかし、こうした脳内ネットワークで信号がどのように伝達されているかは、実はまだ良くわかっていません

その中で特に問題になっているのは、情報の送信者と受信者がどちらがどちらか見分けがつかないということです。これは現代の技術では見分けることができず、脳内のコミュニケーションが実際どのように行われているかを明確に理解できない原因になっています。

こうした問題について、脳内には自然に情報が集まってくるようなランドマーク的な場所があり、そこが難しい意思決定や認識を行う受信者になっているという報告があります。今回の研究は、実際そうした脳の配線状態に基づいて、送信に優れた領域と受信に優れた領域を発見したのです。

この論文は、メルボルン大学の研究者より発表され、オンラインの学術雑誌『Nature Communications』に9月19日付けで掲載されています。

Inferring neural signalling directionality from undirected structural connectomes
https://www.nature.com/articles/s41467-019-12201-w

情報の受信者と送信者

脳内の神経伝達には、方向性というものが存在しています。

ある領域では情報の発信のみ、そしてある領域では受信だけがされており、脳内の信号伝達のメカニズムを理解する上では重要な問題となります。

しかし脳の活動について調査する場合、実際解剖するわけにはいかないので、非侵襲的MRIスキャンを使うことになりますが、現在の技術では情報通信の方向性まで特定することはできません

MRIスキャンで可視化された神経線維。/Credit:pixabay

脳の神経繊維には、双方向で通信を行うものと一方向で一方通行の通信を行うものが存在しています。MRI検査では神経束(しんけいそく)がどこに存在しているかは見つけることができるのですが、それが一方向なのか双方向なのか見分けることができません。

そのため、科学者たちは現状、全ての神経束は双方向接続であると仮定して調査を行っています

これはとても合理的な単純化ですが、そのせいで脳内の電気信号の移動方向は研究することが困難となっています。脳の2つの領域で、どのように信号のやりとりがなされるかわからないという問題は、脳の構成を理解するには不利な問題です。

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