Point
■猫が犬と同程度、または犬以上に強い絆を人間と結べることが判明
■特異な環境下で、子猫の64.3%、おとなの猫の65.8%が安全の愛着パターンを示すことが実験で分かった
■この比率は、人間の幼児に近く、犬をわずかに上回る
多くの人は、犬を「従順かつ愛情深い相棒」、猫を「私たちを大目に見てくれるかわいい獣」として捉えています。ですが、その常識が覆るかもしれません。
猫が犬と同程度、または犬以上に強い絆を人間と結べることが、米オレゴン州立大学のクリスティン・ヴィターレ氏らによる最新の研究で明らかになりました。
論文は、雑誌「Current Biology」に掲載されています。
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)31086-3
約65%が「安全の愛着」パターンを示す結果に
心理学者ジョン・ボウルビーの愛着理論によると、愛着行動には「安全の愛着」や「不安の愛着」といったパターンに分けられます。
安全の愛着パターンを示す動物は、特異な環境下でも、飼い主に再会すると探検を続けます。一方不安の愛着パターンを示す動物は、飼い主に過度にまといついたり、逆に飼い主をできるだけ避けようとしたりといったストレス行動を示します。
研究チームはこの理論に基づき、子猫79匹とおとなの猫38匹を対象にした行動実験を通じて、特異な環境下において猫たちが飼い主にどのような反応を示すかを観察しました。
猫とその飼い主はあらかじめ同室に入れられ、飼い主は床に描かれた円の中心に座りました。
猫が円の内側にいる時のみ、飼い主は猫と交流することができます。2分後、飼い主は部屋を出て、猫だけが部屋に取り残されます。さらに2分後、飼い主は再び部屋へ戻り、円の中に座ります。
実験結果を分析した結果、子猫の愛着パターンを分類した結果、64.3%が安全の愛着パターンを、35.7%が不安の愛着パターンを示しました。大人の猫もほぼ同様の数字です。
面白いのは、安全の愛着パターンが占める上記の比率が、人間の幼児に見られる安全の愛着パターンの比率である65%という数値にかなり近いことです。
さらに今回の数値を見ると、2018年に行われた実験で示された犬の安全の愛着パターンよりもわずかに上回っていました。猫は飼い主と一緒にいる時、犬よりもむしろ親密な絆を感じている可能性があるのです。
ヴィターレ氏は、過去に行った調査で、世間が抱くイメージほどに猫は打ち解けにくい性格ではないことをすでに証明しています。実際、猫は人間が適切な方法で接するかぎり、とても社交的で愛情深い動物で、食べ物やおもちゃよりも人間との交流を選ぶことが多いのです。
ヴィターレ氏らによる今回の調査は、猫たちが人間と深い社会的繋がりを形成するために必要な能力や特性を備えていることを示唆しています。ただ、その表現の仕方が独特なだけなのです。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/35515