数グラムでも形成可能! 原始ブラックホールとは?
今回の論文では「プラネット・ナイン」は原始ブラックホールではないか? という予想が述べられています。
原始ブラックホールとは、初期宇宙で誕生したブラックホールです。よく天文学で初期宇宙というと、ビッグバンから数億年といった「どこが初期なの?」というスケールで語られることが多いですが、この理論における初期宇宙はビッグバンから1秒以内を指しています。
この高圧高温の初期宇宙の中に、大きな密度の揺らぎが生まれたとき、その領域が重力崩壊してブラックホールが生成されるというのです。
一般的な認識では、ブラックホールは星の崩壊によって生まれるもので、巨大な質量がなければ形成できない印象があります。
しかし、実際ブラックホールが形成される条件というのは、物質の質量と半径(サイズ)によって決定されます。このある質量の物質がブラックホール化する半径が、シュワルツシルト半径です。
地球質量の場合半径9mm程度、太陽質量なら半径3km程度に圧縮されると、その物質はブラックホールになってしまいます。
現在の宇宙でこれほどの高圧高密度の状態が達成されることはありませんが、ビックバン一秒以内の初期宇宙では、理論上10万分の1グラムという質量でもブラックホールが形成可能だったと考えられています。
これが原始ブラックホールです。
ブラックホールは、ホーキング放射というものを起こしていて蒸発しています。そのため、理論上の最小サイズのブラックホールはもう生き残ってはいませんが、地球質量レベルならば、宇宙初期から現代まで安定して存在を保っているだろうと考えられています。
しかし、この原始ブラックホールについても、現在は理論上の存在で、実際に発見されてはいません。