- 朝食前(空腹時)の運動がインスリン感受性を高め、結果的に2型糖尿病や心血管疾患のリスクを低下させることが示された
- 朝食前に運動した場合、朝食後に運動した場合と比べて、運動中に燃焼する脂肪量が約2倍に増えた
健康維持には適度な運動が不可欠だと分かってはいても、家事や仕事に追われて運動する時間を十分に確保できないという人は多いでしょう。そんな悩みを解決してくれる研究結果が発表されました。
「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に掲載された論文によると、運動する時間を単に増やすことより、「いつ運動するか」が重要のようです。
https://academic.oup.com/jcem/advance-article/doi/10.1210/clinem/dgz104/5599745
朝食前の運動でインスリン感受性が改善
詳細を知る前に、まずは血糖値をコントロールするホルモンであるインスリンについて理解する必要があります。食後のインスリンの主な働きは、血中の糖を筋肉へ運搬することです。糖は筋肉の中に蓄えられ、エネルギー源として使われます。
運動不足で太り過ぎるとインスリン感受性が低下するため、身体はより多くのインスリンを分泌しなければならなくなります。このことは、太り過ぎが2型糖尿病や心血管疾患のリスクを増大させる理由の1つです。
運動するメリットの1つは、インスリン感受性を高めることで血糖値の制御を助けることです。今回の研究では、インスリン反応に運動と食事のタイミングが深く関わっていることが明らかになりました。
研究チームは、50分間のサイクリングを週3回行うトレーニングを被験者に行わせ、その反応を6週間にわたって観察。
太り過ぎや肥満症の男性被験者のグループが朝食前の空腹時に運動を行ったところ、トレーニング後にインスリン反応の改善が見られました。つまり、血糖値を下げるのに必要なインスリンの量が減少したということです。このことは、トレーニング後に2型糖尿病や心血管疾患といった病気のリスクが低下したことを意味します。
これに対して、朝食後に同じ運動を行った男性被験者のグループでは、インスリン反応の改善が見られませんでした。