永続的な「空気バルーン」を作る
金属表面のはっ水構造は、フェムト秒レーザーを使って、超撥水性質を持たせるパターンをナノスケールで刻み込むことで可能になります。
フェムト秒レーザーとは、フェムト秒(1000兆分の1秒)という超短いパルス幅を持つレーザーのことで、光ですら1フェムト秒の間には約0.3マイクロメートルしか進めません。
つまり、フェムト秒レーザーを使えば、きわめて微細な模様を刻むことができるのです。
そして、表面に微細な多面性のはっ水構造を刻んだ2枚のアルミニウム・プレートを外向きではなく、内向きにして平行に重ねます。これにより、外部からの衝撃や損耗からはっ水面が守られ、多くの空気を永続的に閉じ込めることに成功しました。
実証テストの結果、メタルは2ヶ月間水中に浸しておいても、一切はっ水効果を失わず、浮力を保ち続けています。
さらに、メタル表面に複数の穴を開けてもまったく問題ありませんでした。というのも、残されているはっ水構造が穴の空いた部分を補い、しっかりと空気を閉じ込めることができるからです。
これは多少穴が空いても崩れない、ヒアリのボート構造に類似します。
研究チームは、「応用次第で、絶対に沈まないボートなども作れるかもしれない」と今後の展望を話しています。