- 水面に浮くことのできる「ミズグモ」と「ヒアリ」にインスパイアされ、沈まない金属が開発される
- 水を弾く「はっ水構造」を応用することで、永続的な空気の保持を可能にした
アメリカ・ロチェスター大学により、「絶対に沈まない金属」が開発されました。
浮力の秘密は金属の軽さではなく、水を弾く「はっ水効果」。はっ水効果を持たせたプレートを2枚重ねにすることで、その内側に空気を閉じ込められるとのこと。
これは、空のペットボトルが水に浮く感じに似ています。
ただ驚くべきは、金属に穴を空けても浮力を失わないことです。ペットボトルだと、水が入り込んですぐに沈んでしまいます。
研究チームによると、この技術は、ミズグモとヒアリのおかげで誕生したんだとか。一体、どんなメカニズムを隠し持っているのでしょうか。
研究の詳細は、11月6日付けで「ACS Applied Materials and Interfaces」に掲載されています。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b15540
「ミズグモ」と「ヒアリ」にインスパイア
永続的な浮力を金属に持たせる点でヒントにしたのが、「ミズグモ」と、あの悪名名高き「ヒアリ」でした。
ミズグモは水中で生活できる唯一のクモで、お腹に超はっ水効果を持つ微毛がびっしりと生えそろっています。
この微毛の隙間に空気が溜まるので、ミズグモのお腹は空気の膜で常に覆われています。この空気膜を使って葉裏にエアバルーンを作り、呼吸口や休憩所を設けるのです。生命の神秘を感じます。
しかし、さらに凄いのがヒアリです。
彼らの体にも超はっ水効果がありますが、1匹では効果が薄く沈んでしまいます。そこで群れで大量に集まってイカダを作り、はっ水効果を高めて水上を移動するのです。
この構造はどちらも同じ。ミズグモはお腹にある大量の微毛によって、ヒアリは群れで集まることで超はっ水効果を生み出しています。
ここに着想を得て、研究チームは「多面性超はっ水構造(multifaceted superhydrophobic)」を思いつくのです。