顔は関係ない?
この結果は、個人の顔ともまったく無関係でした。実験では、写真内の人は変えずに、衣服だけを取り替えて被験者に見せると、やはり「裕福」な服を着た人が「能力が高い」と判断されたのです。
シャファー氏は「この判断は、ファーストインプレッションの最初の10分の1秒で開始され、先入観を回避することはきわめて困難」と指摘します。
以前の研究によると、人は「他人の見た目がどれだけ裕福/貧乏であるか」に普段から非常に敏感であることが分かっています。そして、本研究では、人が「能力」のような特性を判断する際、見た目(衣服)に強く引っ張られることが証明されました。
この結果は、「良い服を着ている人が有能である」という経済的な偏見に基づいていますが、実際には、能力の高さと衣服には関係がありません。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどは、衣服に時間と労力をかけないため、まったく同じ種類のシャツ/セーターとジーンズをいくつか用意して、毎日同じ服装をしていました。
ただ、こうした先入観は、現代人の深層に根強く定着しており、「服が良ければ有能に見える」というのは変えられません。面接や社交的な場で自分を有能に見せたいなら、衣服に気を使うのがベストでしょう。