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最小の「暗黒物質のかたまり」をハッブル宇宙望遠鏡が検出!

2020.01.11 Saturday

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Credit:NASA
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  • 暗黒物質は熱的な運動をあまりせず、一箇所に凝集しやすい性質を持つと考えられている
  • 新たな研究では、重力レンズ効果の分析から、これまで確認されている中で最小となる暗黒物質の塊を発見した

暗黒物質の最小の塊を発見したという研究が発表されました。

ちょっと待って! 暗黒物質って発見されてたの?

と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。確かに暗黒物質自体は未だ謎の存在で、それが何であるか特定されてはいません。

しかし、推定される重力の影響に対して計算と合わない影響や効果が確認された場合、そこには暗黒物質が存在しています

そのため、見えなくても暗黒物質の塊と目されるものは、これまでも発見されているのです。

今回の研究は、そんな暗黒物質の塊で最小と推定されるものが発見されたというものです。

謎の暗黒物質に、科学は現在どこまで迫っているのでしょう?

この研究は、NASAのジェット推進研究所の研究者Anna Nierenberg氏、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のTommaso Treu氏を含むハッブル宇宙望遠鏡の観測チームにより、ハワイのホノルルで開催された第235回アメリカ天文学会で発表されており、関連論文は『王立天文学会月報』にも掲載されています。

Warm dark matter chills out: constraints on the halo mass function and the free-streaming length of dark matter with eight quadruple-image strong gravitational lenses
https://doi.org/10.1093/mnras/stz3480

見えないけどそこにある

暗黒物質は現在のところ明確に発見されているものではなく、その正体は未だ謎の存在です。

しかし確かにその影響は確認されていて、銀河を形成する土台となったり、さらに銀河を銀河団に結びつける接着剤にもなっていると考えられています。

現在もっとも有力な理論モデルは「冷たい暗黒物質モデル」と呼ばれるものです。このモデルでは、暗黒物質は熱による激しい運動を起こさずゆっくり移動する「冷たい」粒子で構成されていると考えられています。

このため暗黒物質は拡散せずに凝集しやすい性質を持っていると考えられていて、その結果天の川銀河の数10万倍の質量から、旅客機くらいの質量の塊を形成すると予想されています。

下の画像は全天の銀河の配置を観測したものと、冷たい暗黒物質が凝集して大規模構造を宇宙に形成した場合のシミュレーションを並べたものです。これを見ると2つは非常によく一致して見えます。冷たい暗黒物質がベースとなって銀河形成されたというのも頷ける話です

掃天観測による160万個の銀河の天球上の分布(左)。冷たい暗黒物質が凝集した大規模構造(左)。/Credit:2MASS/矢作日出樹、長島雅裕,武田隆顕,国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

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