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- イタリアの研究により、ケープペンギンの発話に、人の言語規則と同じ特徴が見られることが判明
- 発話ルールは、人や霊長類を超えて、他の生物にも広く共通する可能性が浮上している
トリノ大学(伊)の研究により、ケープペンギン(Jackass Penguin)の発話は、人の言語構造と似た特徴を持っていることが分かりました。
言語学者によると、世界中の人言語は、長い単語や複雑なフレーズが多く存在する一方で、それらは、ごく短な音を組み合わせて作られる傾向がある、と言います。
例えば、人や他の霊長類がつくる基礎的な音は、a・the・of・isなど短いものがほとんど。また、単語が長く複雑になるほど、短い音の連続で構成されます(例、「circumnavigation(世界一周)」は音を6つ含む多音節)。
そして今回の調査で、ケープペンギンにも同じような発話の法則が見受けられたのです。
研究の詳細は、2月5日付けで「Biology Letters」に掲載されました。
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2019.0589
発話ルールは生物に共通する?
ケープペンギンの発話を調べるため、研究チームは、イタリアの動物園にいる28匹のオスから590の発話を採取し、分析しました。交尾期間中だったので、オスは積極的に発話しており、豊富なサンプル採取に成功しています。
分析の結果、ケープペンギンは、人間の発話と同様に、短い音を最も頻繁に発しており、最も長い発話は、短い音の組み合わせで成り立っていることが判明したのです。
このことから、先にあげた言語学的法則は、人や霊長類のみに適応されてきましたが、もっと広範囲な生物種に当てはめることが可能かもしれません。
もし同じ法則がペンギンにも当てはまるなら、こうした言語法則は、生物間のコミュニケーションについて、より深い次元で普遍的なものを反映している可能性があります。
研究主任のリヴィオ・ファヴァーロ氏は「実際、発話法則は、コミュニケーションを効率的で円滑にするために、人や他の動物たちが生み出した自然の産物である」とした上で、「意思疎通の際にエネルギー消費を最小化できる発話ルールは、ペンギン以外の他の動物にも見られるかもしれない」と期待を寄せています。
ちなみに、ケープペンギンの鳴き声は、こちらです。
このロバのような鳴き声から、名前が「Jackass Penguin(=まぬけペンギン) 」となっています。