- カナダ西部の平原にて、ティラノサウルスの近縁種に当たる新種の恐竜の化石が発見される
- 成長すると全長が8mにも達し、同地域で発見された肉食竜の中では、最古にして最大となる
- 愛称は、ギリシャ語で「死神」を意味する「タナトス」
カナダ西部・アルバータ州で、Tレックスのイトコ種に当たる新種の恐竜の化石が発見されました。
カナダ・カルガリー大学の研究によると、この恐竜は「非常にどう猛な肉食種であり、当時のカナダに広がる食物連鎖の頂点に君臨していた」とのことです。
学名は、ギリシャ語で「死神(reaper of death)」を意味する「タナトス(Thanatos)」から、「Thanatotheristes degrootorum」と命名されました。研究チームからは「タナトス」という愛称で呼ばれています。
カナダでティラノサウルス科に属する新種の化石が発見されるのは、およそ50年ぶりの快挙です。
研究の詳細は、1月23日付けで「Cretaceous Research」に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667119303611
成長すると全長8メートル!
タナトスは約7950万年前のカナダ〜アメリカ西部一帯に生息していました。この時代は、恐竜全盛期の最後に当たる「白亜紀(1億4500万年〜6500万年)」の後期に当たります。
研究主任のジャレド・ボリス氏は「同地域でこれまでに発見されているTレックス科の中では、最古にして最大だ」と話します。
発見された化石から分析すると、タナトスは成長すれば歯の大きさが約7センチ、お尻の高さが約2.4メートル、そして全長は8メートルを超えるそうです。
調査では、顔骨の一部分しか見つかっていないため、体重を推定することはできません。一般的に、体重の推定には、後ろ足の化石が不可欠です。
それでも、タナトスを新種と特定するには十分でした。
というのも、タナトスの頭蓋骨には、Tレックスと同じ奇妙な隆起がある一方で、「目から鼻の上部に沿って走る、2つの垂直な鼻梁」という特徴があったからです。
この特徴は、近縁のTレックスにも見られません。鼻梁がどのような機能を持っていたかは定かでありませんが、それがハンターとしての凶暴な印象を与えていたのは確かでしょう。
同研究チームのダーラ・ゼレニツキー氏は「食物連鎖のピラミッドの頂点にいる肉食恐竜は、そもそも数が少なく、化石を発見するのも他の草食恐竜に比べて困難です。そのため今回の発見は、カナダに生息していた肉食恐竜の生態を知る上で非常に貴重なもの」と話しています。