ランダムではないが予測できない「カオス現象」
動画の磁石振り子はランダムに動いているように思えますが、正確にはランダムではありません。
振り子は磁場などの揺るがない力学の元に作用しているので、手を放す位置が同じであれば、必ず同じ軌道で動き、同じ場所で止まります。
しかし、動画のような振り子では、手を放す位置が少しでもずれると前回とは全く異なった動きをします。これは、複雑な磁場による干渉が原因です。
初期位置を毎回まったく同じにすることは難しいので、人間には振り子がランダムに動いているように思えるのです。
このように、初期条件の僅かな変化が結果に大きな差を与える現象を「カオス現象」、その理論を「カオス理論」と呼びます。
天気予報が100%の確率で当てることができないのも、カオス現象によるものです。
自然界は磁石振り子とは比較にならないほど複雑です。全く同じ条件など起こり得ませんし、複雑な物理法則の中では、小さな要因によって結果が大きく異なってしまいます。
振り子でさえ予測できないのに、もっと複雑な天気を完全予測することなど不可能です。
磁石振り子は、一見磁石による単純なおもちゃに見えますが、カオス理論を表現する「自然力学の縮図」とも言えるのです。