- 新石器時代の食生活における重金属汚染は、現代の安全な数値の20倍以上に達していたことが判明
- 脳機能や免疫システムに影響を与えるカドミウムや鉛、水銀が主に含まれていた
お菓子、揚げ物、ファストフードなど、現代には健康に悪影響をおよぼす食べ物がたくさんあります。
その一方、加工食品 が存在せずカロリーも低い古代人の食生活は、きっと健康に良いものだったと言われます。
では肉や魚、野菜など、自然のものをメインにした古代の食生活を実践すれば、現代人も今よりずっと健康になるのでしょうか。
ところが今回、ノルウェー・トロムソ大学の研究により、古代人の食生活は、重金属でひどく汚染されていたことが判明したのです
研究の詳細は、1月28日付けで「Quaternary International」に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1040618220300203?via%3Dihub
安全な数値の20倍⁈
研究チームは、新石器時代の食生活を調べるため、ノルウェーのバランゲン半島の8カ所を対象に、発掘された骨の分析を行いました。
対象となるのは、古代人の遺骨ではなく、彼らが食べていたタラやアザラシの骨です。これまでの研究から、同地の古代人は、タラやアザラシを主食にし、さらには、イルカやクジラ、シカ、ビーバーなども食べていたことが分かっています。
発掘された約40の骨の年代は、3800〜6300年前にわたっていました。
そして分析の結果、タラの骨には、高濃度のカドミウムや鉛が混入していることが発覚したのです。具体的に言うと、カドミウムは、EFSA(欧州食品安全機関)が「食肉の中に含まれていても安全」と推奨する最大値の20倍以上、鉛は4倍以上でした。
また、アザラシの骨も同じで、カドミウムは15倍、鉛は4倍におよんでいます。水銀は、どちらの骨にも高濃度に混入していました。
カドミウムは腎臓や肝臓、肺に機能障害を起こす原因であり、鉛は脳や神経系にダメージを与えます。水銀も脳や腎臓、免疫システムに多大な悪影響を与えるため、非常に危険です。