食料汚染は数千年前から始まっていた
こうした自然界にある食物の汚染は、数千年前から始まっていると言われます。
例えば、2015年のある研究では、約6500年前に古代人によって消費された北米沿岸のタラの骨にも、高濃度の水銀が発見されているのです。
水銀は、地球の陸上に自然と生じるものであり、それが海面上昇にともない波にさらわれることで、海中に流出します。それを魚たちが、エラやプランクトンを通して、体内に摂取するのです。
研究主任のハンス・ピーター・ブランクホルム氏は「汚染物質の量が、古代人にとって致命的ではなかったとしても、健康に悪いことは間違いない」と指摘する一方、「汚染された食生活が、彼らにどれほどの影響を与えたのかは定かでない」とします。
汚染された魚介類以外に摂取していた野菜や果物類が、健康へのダメージを緩和していた可能性も指摘されています。
研究チームは、今後、同地から発掘される人骨をもとに、当時の人々の健康状態や平均寿命を調べていく予定です。