人は体のサイズに比べてとても大きな脳を持っています。
同じ霊長類のゴリラやオランウータンは、私たちより体が大きいにもかかわらず、脳は小さく、神経の数もずっと少ないのです。
なぜ人類だけが、これほど大きな脳と高い知能を獲得したのでしょうか。
答えは、「料理の発明」にあるといわれています。
大きな脳は手がかかる
摂取すべきエネルギー量は体が大きいほど増えますが、中でも脳の消費量は相当なものです。
人では全体重の2%ほどしかないのに、摂取したエネルギーの2割が脳の活動に費やされます。
そのため、人類の古い祖先である霊長類は、脳を維持するために起きている間はほぼずっと植物の茎や実などを食べていました。
実際、ゴリラやオランウータンは、1日のおよそ9時間を食事の時間に費やしています。専門家の話では、もし彼らが人と同じサイズの脳を持っているなら、食事の時間をさらに2時間も増やさなければならないそうです。
また、彼らの脳が発達しない理由として、草食生活が挙げられます。
茎や木の実は、動物の肉に比べて、摂取できるエネルギー量がきわめて低く、大きな体を維持するにはとにかく食べる量を増やすしかありません。ゴリラやオランウータンの食事時間が長いのはそのためです。
ところが人類の祖先は、料理を発明したことで草食生活から抜け出すことになります。