2つ目のメカニズム:シグマ受容体の不活性化
研究者たちが見つけた2つ目の治療メカニズムは、1つ目とは全く異なる仕方で作用します。
人間の細胞には「細胞受容体」というものが細胞表面と内部の両方に存在し、作業スイッチのような働きをします。特定の分子が特定の受容体に結合することで、特定の働きをするように指示するのです。
この受容体はウイルスにも利用されています。ウイルスはしばしば、細胞に感染するためにこの受容体を使用するのです。
ですから、この受容体に影響を及ぼす薬剤を使用することで、ウイルスと戦うことができるのです。
そして、研究チームは、受容体シグマR1とシグマR2が薬物治療に効果的であり、それらに影響を与える7つの薬剤または分子を発見しました。
統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬「ハロペリドール」と「メルペロン」、強力な抗ヒスタミン薬である「クレマスチン」と「クロペラスチン」、化合物「PB28」、女性ホルモンの「プロゲステロン」は、新型コロナウイルスを不活性化すると判明。
現時点では、新型コロナウイルスが受容体シグマR1とシグマR2をどのように操作しているか正確に分かっていません。
しかし、研究者たちは、ウイルスがこれらの受容体を利用して複製を助けていると考えています。
ですから、受容体を不活性化させることで、ウイルス複製を抑制できるのかもしれません。