咳止めシロップには要注意?
2つ目のメカニズムのうち、7番目の化合物は「デキストロメトルファン」です。
これは、咳止めによく含まれる成分であり、他の6つとは逆に作用します。テストでは、ウイルスの複製が促され、多くの細胞が死亡することになりました。
この発見は非常に重要なものとなる可能性がありますが、容易に断定すべきではありません。
現段階では、「新型コロナウイルス感染者が咳止めシロップを避けるべき」と明言することはできず、そのためにはもっと多くのテストが必要でしょう。
ところで、この研究では、新型コロナウイルスの治療薬として話題になっている「ヒドロキシクロロキン(マラリア治療に使用される)」についても、新しい結果が出ています。
今回の実験では、ヒドロキシクロロキンが受容体シグマR1とシグマR2に効率的に結合することはありませんでした。
むしろ、心臓の受容体と結合しやすく障害を起こすものなので、「信頼できる治療薬とはならない」との結論が出ています。
さて、今回のクローガン氏らの研究によって、「ウイルスと人体の相互作用」への理解が、既存の薬・化合物から治療薬を見つけることに繋がると分かりました。
このアイデアは、現在の新型コロナウイルスだけに限らず、将来出現するかもしれないウイルスにも有効でしょう。
研究者たちは、次のステップとして、発見した薬剤をヒト細胞でのテストを計画しています。既存の薬によって、新型コロナウイルスの治療が行える日も近いのです。
この研究は4月30日、「Nature」誌に掲載されました。
A SARS-CoV-2 protein interaction map reveals targets for drug repurposing
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2286-9
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/57474