- 新型コロナウイルスの治療に役立つ可能性のある8種類の既存の薬剤・化合物が見つかった
- 効果性のある既存薬を見つけるカギは、ウイルスとヒト細胞の相互作用
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世界中が新型コロナウイルスの新薬開発に励んでいる中、改めて、既存の薬が治療に役立つかどうかテストされました。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校、細胞・分子薬理学部のネヴァン・クローガン氏ら研究チーム(QCRG:QBI coronavirus research group)は、新型コロナウイルスを治療する可能性のある69の既存の薬剤と化合物を特定しました。
そして、現在までの4週間で、47種類の薬と化合物を新型コロナウイルスに対してテストしました。
その結果、新型コロナウイルス治療に役立つ、2つ異なるメカニズムを明らかにし、実際に治療薬としての可能性をもつ既存薬を複数発見しました。
新型コロナウイルスとヒトタンパク質における相互影響の全体図
最初に、研究チームはウイルスに効果のある、既存の薬を探すことにしました。
通常、薬剤とは「人間のタンパク質に影響を及ぼして」治療するものです。特定のタンパク質の働きを強めたり弱めたりすることで、治療に役立てるのです。もちろん、影響を及ぼすタンパク質は薬の種類によって異なります。
実は、ウイルスも薬剤と似たような仕組みによって、人体に感染し悪影響を及ぼします。
ウイルスとは「人間のタンパク質と相互に作用し、影響を及ぼして」感染させるものです。ですから、ウイルスと相互作用するヒトタンパク質を、薬剤によって制御すると、ウイルスの感染と繁殖を防ぐことができます。
この考えをもとに、研究チームは新型コロナウイルスのタンパク質と相互作用するヒトタンパク質を図に表わしました。
図の交差点が薬物が新型コロナウイルスと戦える場所になるため、この部分に影響をもたらす薬剤を、アメリカ食品医薬品局(FDA)の薬剤カタログの中から探しました。
その結果、69種の既存薬剤が見つかりました。